公開日:2023年4月10日
最終更新日:2023年4月11日
本記事はコラムです。
突然ですが、実は狩猟免許はハンティングを始めるために必須ではありません。ご存じでしたか?
ルールを守れば、特別な免許や許可を受けることなく狩りをすることができるのです。
本稿では今年で自由猟歴7年目の筆者が、その始め方・コツ・注意点をご紹介します。
日本の鳥や獣は鳥獣保護法によってその捕獲が原則禁止されていますが、そこには例外があります。
「法定猟法以外の猟法による狩猟鳥獣の捕獲等」です。
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(通称:狩猟法または鳥獣保護法)では、以下のように定められています。(見やすさのため改変しています。)
次に掲げる場合には、「狩猟可能区域」において、狩猟期間内に限り、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けないで、狩猟鳥獣の捕獲等をすることができる。
- 一 次条、第十四条、第十五条から第十七条まで及び次章第一節から第三節までの規定に従って狩猟をするとき。
- 二 次条、第十四条、第十五条から第十七条まで、第三十六条及び第三十七条の規定に従って次に掲げる狩猟鳥獣の捕獲等をするとき。
- イ 法定猟法以外の猟法による狩猟鳥獣の捕獲等
- ロ 垣、柵その他これに類するもので囲まれた住宅の敷地内において銃器を使用しないでする狩猟鳥獣の捕獲等
出典:E-Gov ウェブサイト「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000088)(最終閲覧日2023年4月11日)
これは全ての人にとって狩猟鳥獣の捕獲が開かれた世界であることを意味していると言えます。では、「法定猟法以外の猟法」とは何か、詳しく見ていきましょう。
「次条(第十二条)、第十四条、第十五条から第十七条まで、第三十六条及び第三十七条の規定に従って」については、後ほどご説明しますね。
全ての人に開かれたこの猟法は、一般に「自由猟」または「自由猟法」と呼ばれています。
自由猟法に該当する方法には下記のようなものがあります。
つまり、これらの猟法であれば特別な許可を得ずにハンティングを始めることが可能なのです。
先述の「第三十六条及び第三十七条」で規定される危険猟法は
第三十六条 爆発物、劇薬、毒薬を使用する猟法その他環境省令で定める猟法(以下「危険猟法」という。)により鳥獣の捕獲等をしてはならない。ただし、第十三条第一項の規定により鳥獣の捕獲等をする場合又は次条第一項の許可を受けてその許可に係る鳥獣の捕獲等をする場合は、この限りでない。(危険猟法の許可)
第三十七条 第九条第一項に規定する目的で危険猟法により鳥獣の捕獲等をしようとする者は、環境大臣の許可を受けなければならない。
出典:E-Gov ウェブサイト「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000088)(最終閲覧日2023年4月11日)
このように定められており、基本的に自由猟では以下のような危険猟法を使用することはできませんので、注意する必要があります。
「素手で鳥を取って食う」という行為が許されるとは驚きですよね。
ですが、実際に素手や投石でハンティングするのは原始的すぎますし、何より現実的ではありません。
スリングショット(ゴムで弾を飛ばすパチンコ)は、以前から自由猟の道具として用いられてきました。
スリングショットは熟練すれば実際に狩猟で成果を上げることが出来る道具です。しかし、実際にフィールドで獲物に当てられるようになるにはかなりの練習が必要です。
加えて従来の市販品では威力不足が生じるという声があがっていました。
そこで狩猟用として使われるようになったのが「スリングライフル」という道具です。
スリングショットと同様にそのエネルギー源はゴムですが、弾をガイドするフレームとトリガー(引き金)、肩で構えるためのストックを備えることで、すべての人が本格的な狩猟の入り口に立てるようになったのです。
GOMRIFLE.com™は狩猟用スリングライフルを2017年に日本で初めて発売し、現在も実猟志向の本格的なモデルを数多く出荷し続けています。
しかし、自由猟を行うには絶対に知っておかなければならない注意点があります。
自由猟は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(通称:狩猟法)で狩猟期間内にのみ許されることが定められていましたね。
「自由な猟」であっても、期間を守らなければ違法になってしまうんです。
時期は通常「毎年11月15日~翌年2月15日」の場合が多いですが、対象狩猟鳥獣や都道府県によって延長または短縮されている場合もあるため必ず確認が必要です。北海道では「毎年10月1日~翌年1月31日」となっています。
自由猟は「狩猟可能区域」においてのみ可能な行為でした。
狩猟可能区域とは
「第二十八条第一項に規定する鳥獣保護区、第三十四条第一項に規定する休猟区(第十四条第一項の規定により指定された区域がある場合は、その区域を除く。)その他生態系の保護又は住民の安全の確保若しくは静穏の保持が特に必要な区域として環境省令で定める区域以外の区域(以下「狩猟可能区域」という。)」
出典:E-Gov ウェブサイト「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000088)(最終閲覧日2023年4月11日)
また、先述の「第十五条」では
第十五条 環境大臣又は都道府県知事は、特に必要があると認めるときは、次に掲げる区域について、それぞれ鳥獣の保護に重大な支障を及ぼすおそれがあると認める猟法(以下「指定猟法」という。)を定め、指定猟法により鳥獣の捕獲等をすることを禁止する区域を指定猟法禁止区域として指定することができる。
出典:E-Gov ウェブサイト「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000088)(最終閲覧日2023年4月11日)
と規定され、指定猟法禁止区域が定められることがあります。
使用する自由猟具が禁止されていない区域であることも、念のため確認しておきたいですね。
自由猟を行うにあたっては、狩猟可能区域を確認できる鳥獣保護区等位置図、通称「ハンターマップ」を入手し、携帯しましょう。
第十七条 垣、さくその他これに類するもので囲まれた土地又は作物のある土地において、鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をしようとする者は、あらかじめ、その土地の占有者の承諾を得なければならない。
出典:E-Gov ウェブサイト「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000088)(最終閲覧日2023年4月11日)
第十七条では、以下のような土地で自由猟をする際には土地の占有者の承諾を得なければならないとされているため、無断で立ち入らないよう注意が必要です。
自由猟の対象は「狩猟鳥獣」に限られるという制限もありました。
つまり、狩猟鳥獣に指定されていない鳥獣を獲ると、これもまた違法行為となってしまいます。
狩猟鳥獣には現在日本に棲む26種類の鳥類、20種類の獣類が指定されています。
その範囲は変更されることがあるほか、都道府県によって捕獲が禁止されていたり捕獲数の制限が設定されていたりするため、注意が必要です。
鳥類(26種類)
カワウ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、エゾライチョウ、ヤマドリ(コシジロヤマドリを除く。)、キジ、コジュケイ、ヤマシギ、タシギ、キジバト、ヒヨドリ、ニュウナイスズメ、スズメ、ムクドリ、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス
獣類(20種類)
タヌキ、キツネ、ノイヌ、ノネコ、テン(ツシマテンを除く。)、イタチ(雄)、シベリアイタチ、ミンク、アナグマ、アライグマ、ヒグマ、ツキノワグマ、ハクビシン、イノシシ、ニホンジカ、タイワンリス、シマリス、ヌ-トリア、ユキウサギ、ノウサギ
出典:環境省ウェブサイト「狩猟制度の概要」(https://www.env.go.jp/nature/choju/hunt/hunt2.html)(最終閲覧日2023年1月23日)
また、前述の「第十二条」では
第十二条 環境大臣は、国際的又は全国的に特に保護を図る必要があると認める対象狩猟鳥獣がある場合には、次に掲げる禁止又は制限をすることができる。
(以降省略)
- 一 区域又は期間を定めて当該対象狩猟鳥獣の捕獲等を禁止すること。
- 二 区域又は期間を定めて当該対象狩猟鳥獣の捕獲等の数を制限すること。
- 三 当該対象狩猟鳥獣の保護に支障を及ぼすものとして禁止すべき猟法を定めてこれにより捕獲等をすることを禁止すること。
出典:E-Gov ウェブサイト「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000088)(最終閲覧日2023年4月11日)
と定められています。捕ろうとする狩猟鳥獣がこの禁止や制限に該当していないことも、確認しましょう。
また、第十六条では、基本的に上の第十二条で定められる使用禁止用具を鳥獣の捕獲等の目的で所持してはならないとされています。
もしあなたがバードウォッチングをしている時に、目の前の鳥が撃ち抜かれたらどう思うでしょうか?悲しい気持ちになったり、もしかしたら怒りがこみ上げるかもしれません。警察に通報する人もいるでしょう。
野生の鳥やフィールドはハンターだけの物ではありません。他の利用者を不快にさせるような行為は良くありませんし、何よりトラブルのもとになります。
法律に則った自由猟の最中であっても、他の利用者がいる時には猟具をしまって観察してみたり、別の場所に移動するなどの配慮をすることがフィールドを持続的に利用するために必要不可欠です。
猟銃やエアライフルに比べハンデを背負っている自由猟。獲物をとるにはコツが必要です。筆者の経験から、自由猟で成果を上げるためのコツを3つご紹介します。
エアライフルや装薬銃に比べて射程の短いスリングライフルでは、「獲物を警戒させずにどれだけ近づけるか」が勝負になってきます。
そのためには物陰や地形に隠れながら近づいたり匍匐で近づいたりと、時には泥汚れも気にせず臨機応変に立ち回らなくてはいけません。これはスリングライフル猟の醍醐味でもあります。
標的を20メートル以内に捉えれば、かなりの確率で猟果を上げることが出来るでしょう。
動物は私たちが思っている以上に強く、生命力があります。
鳥によっては羽で弾を弾いてしまったり、被弾しているのにしばらくの間は素早く動けることもあります。
このような状態で逃してしまった獲物は「半矢」となってしまい、怪我をした動物を自然に残す結果を招きます。
頭や頸部などの急所を狙い、出来るだけ一瞬で仕留めることが猟果に繋がることはもちろん、ハンターとしてあるべき姿なのではないでしょうか。
狙えるか狙えないか微妙なシチュエーションは、よく発生します。
狩猟鳥獣の同定が怪しい個体、地域住民の方が眺めて可愛がっている鳥、木の上にとまっていて外すと流れ弾が危ない場所…
迷ったら、ライフルを下げて観察してみる位の余裕があると良いですよね。
どんな時も無理せず、トラブルを避け、引き際をわきまえる。冷静な判断が、きっと次の獲物を近づけてくれます。
すべての人に開かれた自由猟には、狩猟の入口をより多くの人に提供し、アウトドアに新たな一面を加えるという社会的意義があります。
人間の狩猟本能を満たすレクリエーションとしての役割のほかに、生命や環境の大切さとその文化的な利用の重要性を伝える教育媒体、有害鳥獣による被害に悩む農水産業従事者にとっての一手段など、様々な側面も持ち合わせていると言えるでしょう。
これからも自由猟を楽しめる環境を残していくために、ルールの遵守はもちろん、マナーやモラルを守ってこの遊びを楽しんでいく事が重要です。
みなさんにとって本記事が自由猟を知り、始めるきっかけとなれば幸いです。
スコープに映る獲物を狙う時の興奮には、どの趣味にも代えがたいものがありますよ。
ここまで、自由猟について、始め方や注意点などをご説明してきました。
始めてみたい!という方は以下のポイントを必ず押さえておきましょう。
スリングライフルを使った自由猟について、ご不明な点がありましたらGOMRIFLE.com™スタッフへお気軽にお問い合わせくださいね!