公開日:2023年6月7日
最終更新日:2023年6月7日
本記事はコラムです。
ヒヨドリは全長25~30cm弱になる灰色の鳥です。ぼさっと毛羽立った頭(冠羽)と、黒く尖ったくちばし、頬に茶色い部分がある点が特徴です。
「ヒーヨ、ヒーヨ」「ヒーッ、ヒーッ」と鳴き、空中をバウンドするように波型の特徴的な飛翔をします。ホバリングをすることが出来、ハチドリのように花の蜜を吸うことが出来ます。
似る鳥にイソヒヨドリがあり、特にイソヒヨドリのメスは色が灰色でよく似ています。イソヒヨドリは頬が赤茶色でない事、冠羽が無い事、尾羽が短い事などの特徴から見分けましょう。
メスのイソヒヨドリは全体的に短くスマートな雰囲気。頬の色で見分けよう。
ムクドリはくちばしと足がオレンジや黄色で、顔に白い部分があるため容易に見分けることが出来ます。
ペンギンを思わせるずんぐりとした体形のムクドリ。クチバシの黄色が特徴だ。
また、ツグミも顔に白いラインが入り羽は褐色であることから、見分けることは簡単です。
全体的に茶色く、シュッとした印象を受ける。顔の白線で見分ける。
日本列島から朝鮮半島南部の固有種であり、市街地から山林まで全国に広く分布します。比較的暖かい気候を好み、北日本の個体は冬季に関東以内の南方へ移動すると言われています。
甘いものを好み、果物や花の蜜は大好物。バードフィーダーにミカンを置いておくと、食べに来たヒヨドリを観察する事ができます。
ヒヨドリにとっては果樹園の果物も貴重な食料。フルーツに穴をあけたりベリーを盗んだりしては農家さんを困らせる厄介者で、果樹に被害を出す代表的な鳥の一つです。
同じく果樹への被害で知られるムクドリは、かんきつ類に含まれるショ糖を分解する事が出来ません。かんきつ類への被害があれば、ヒヨドリの仕業である可能性が高くなります。
ヒヨドリは賢く、警戒心が強い鳥です。近づく事は容易ではありません。
一方で攻撃的な一面も持ち、食欲旺盛なあまり餌場で他の鳥を蹴散らして独占することもよくあります。また、保護された個体が人の指に噛みついたという話もあり、とにかく気の強い鳥なのです。
ヒヨドリはミカンなどのかんきつ類を好んで食べる
ヒヨドリの食性から、果実全般が被害に遭いやすいようです。
図:全国の野生鳥による農作物被害量(令和3年度)
出典:農水省ホームページ「全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(令和3年度)」(https://www.maff.go.jp/j/press/nousin/tyozyu/221202.html) 最終閲覧日:2023年6月6日 を加工して作成。
実は、ヒヨドリによる農作物の被害総量は鳥類ではカラスとカモに次ぐ第3位にランクインし、かんきつ類を主に大きな被害を出しています。農水省によれば、令和3年度のデータでは全国の害鳥による被害量のうち約1割(約2,100トン)がヒヨドリによるものでした。
幅広い食性と幅広い分布のため、大規模な果樹園や農場から家庭菜園やお庭で育てているお花までもが標的になり得るのです。
防鳥ネットは適切な編み目で隙間なく設置されることが重要だ。
ご家庭のお庭に植えている果樹や花など、小規模であれば防鳥ネットで木を覆ってしまう手段が有効です。デメリットとして景観を損ねるという点がありますが、地面から隙間なく完全に覆う事で被害を防止することができます。
鳥よけグッズは「慣れ」が生じると効果は薄まる
ヒヨドリは警戒心の強い鳥なので、音や光に敏感に反応して逃げます。
注意点は多いが、免許不要でできる最も根本的で有効な手段。
もっと根本的な方法として、ヒヨドリ自体を物理的に駆除してしまう方法があります。出典:e-Govウェブサイト「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414M60001000028) 最終閲覧日:2023年6月6日
自由猟具として使う事ができるが、熟練が必要。
スリングショットは最もシンプルで手軽な自由猟具の一つです。「パチンコ」とも呼ばれ、ゴムの力で弾を飛ばします。安価で手軽に入手する事が出来ますが、威力や命中精度、射程距離には限界があります。ヒヨドリは的が小さい上に警戒心が強く、また撃たれ強いため、実際に落とすには急所を狙うためかなりの熟練が必要になります。
コストさえ許せば、最強の自由猟具と言える。
スリングライフルはスリングショットライフルとも呼ばれるゴム式の狩猟銃です。スリングショットの発展形で、同様に免許や所持許可が無くても使用できます。
ヒヨドリの照り焼き。ミカン風味の甘い脂と野趣あふれる胸肉が非常に美味。
ヒヨドリは甘味のある脂がのり、ジビエらしい風味も楽しむことができるため、実はフレンチの食材としても珍重される鳥なんです。特にミカンなどのかんきつ類を食べているヒヨドリは香りも良く、格別の味と言われています。